先日、新年度を迎えるにあたり、笛吹市長表敬訪問が行われました。昨年笛吹市長選挙が行われ、山下政樹市長が新市長として就任される中、笛吹青年会議所理事長が市長へこれからの笛吹市について質問しました。
理事長:この度はご多忙の中お時間を作って頂きありがとうございます。そして、先日は公開討論会にご協力いただきましてありがとうございます。
市長:こちらこそありがとうございました。
理事長:さて早速ですが、2017年度笛吹青年会議所は「ターゲットフルスピード 責任と行動」というスローガンを掲げ、主にまちづくり事業、青少年育成事業に力を入れて取り組んでいきます。
市長は笛吹青年会議所に対してどのようなイメージをもたれていますか? また我々も含め笛吹市の20代~30代の青年たちに期待したいことはなんでしょうか?
市長:そうですね、まず、青年会議所のイメージというのは月波になりますが若手経営者の会というのがイメージにありますね、その中で私がすごく思っているのは若い力とかバイタリティとか、地域おこしの主役とか仕掛け人というイメージをもっています。そして20代、30代のイメージとしては草食系なんて言葉もありますが、入手できる情報が多いせいか考えることが先行しちゃって、行動に起こすということが一歩遅れてしまっているというイメージがあります。青年会議所の皆様にはアクションだとかアグレッシブだとかそういった雰囲気を大いに前面に出してもらって、変化が早い時代ですから、「走りながら考える」、そういったがんばりを期待しております。
理事長:ありがとうございます。スローガンにも掲げさせていただきましたが、わたくしもそこが青年会議所の足りてないところなのかなと思いまして、責任もって行動するということでこのスローガンを掲げさせていただきました。
市長:まぁあんまり、硬くならずに多少会話をはずませましょう(笑) 今は時代にスピード感があり、流行りも何が流行るのか予測つかないですよね。昔なら一度流行ったら2,3年もったと思うんですが、今では1年もすれば廃れてしまいます、そんな時代だと思うんです。なので、あまり立ち止まってじっくり考えて、議論ばっかりやっていたら少しも行動が前に進みません。確かに議論をしっかり行い、ベースを作ってから行動することも大切だとは思いますが、今の時代というのは残念ながらそれでは間に合わない。走りながら考えることが必要だと思いますし、時々によって進むべき方向に軌道修正する柔軟性が必要だと思います。
行政も同じです、例えば5年間の計画を決めると今までだと入口から出口まで一直線ですよ、一度計画が決まってしまったら毎年同じ予算を使って同じことをする。そんなことは絶対だめです。1年、2年やってこれはダメだと思ったら、軌道修正して現状の問題点を解決する方向へ向かう、そういう柔軟性がこれからの時代、行政にも必要だと思っていますし、私はそうしていこうと思っています。 確かに計画はちゃんと作ります、作りますが、必ずしも計画通りで進むとも思っていません。物事が当初の計画通りに進んでいたら日本はこんな景気のわるい国にはなっていないはずです。 逆にいえば、当初の計画にこだわり過ぎて、そこに縛られすぎてしまい身動きがとれないこともあると思います。計画以外のことはやってはだめとか、そんなことを言っていたら今の時代は生き抜けないと思います。 あくまで計画は計画であって、実際に動きながら計画を軌道修正していくのが今の時代に相応しい方法だと思います。
新年度に、私の提唱する「ハートフルタウン・笛吹」構想をベースとした、第二次笛吹市総合計画を策定する予定です。実際には、基本計画というものがあって、それに対するアクションプランというものを作るんですが、今までのような分厚い基本計画とそれと同じくらい厚いアクションプランを作るつもりはありません。実際のところそんなものを作っても多くの方々は読みはしません。 だから今回はこの基本計画は単純明快なものにして、アクションプランの部分を重視し、どのように実行するのかということを突き詰めて作ろうと考えています。青年会議所の皆様も、今年やることはもうある程度決まってるんですよね?
理事長:そうですね、年間の事業計画は決まってますね。
市長:年間の行事もそうですし、3年計画、5年計画とあると思いますが、あんまり計画にしばられないで、構想や計画は大きなものを練って、それをいくつできるかみたいな、その方がいろいろな動き方ができるんじゃないかと私は思っております。
理事長:確かに我々も事業計画を立てることに力を注いでしまい、いざ実行に移ろうとした時には力が尽きてしまうなんてこともありますが、本当に大事なのはそこからなんですよね。貴重なご意見ありがとうございます。
次の質問ですが、まちづくりにおいて、我々は2014年から「目指せ!地域コミュニティの活性化」という中長期ミッションを策定しました、これは私たちの活動において、進むべき方向を明確化し、継続性を持ちつつ市民と協働によるまちづくりをおこなうために打ち立てた目標です。
市長も市民と行政の双方向的な協働を市政運営の基本とするとお考えですが、その際の地域コミュニティの役割とはなんでしょうか?
市長:そうですね、まず、地域コミュニティの主なものとしては、自治会であったり、ボランティア団体、NPO、老人クラブ、自主防災組織などがあげられますが、地域を取り巻く環境は、高齢化の進展や近所付き合いが希薄になってきている状況もあるかと思います。今後、益々、少子化による人口減少が想定される中で、ひとり暮らしの高齢者や子育て世代の皆様が安心して暮せるまちづくり、地域全体での防災体制づくりなど、新たに必要とされている取り組みをどのように進めていくべきか。地域コミュニティにかかわる皆様と連携しながら、地域の課題に適切に対応し、安全に安心して暮せるまちを築いていくために、地域と市の新たな関係をつくっていく必要があると思います。とにかく、地域のことは地域の皆様が一番よく知っているわけですから、積極的なかかわりをお願いしながら、市もしっかり支援し取り組んでいくということです。笛吹市はこれから百年、二百年とずっと続く街だと思います。地域の皆様が安心して暮らせるためにも、やはり行政が今からしっかりとした基盤を作らないといけないと思います。そのためにも地域コミュニティというのは大変重要で、行政のできない部分を補ってもらうということもこれから地域コミュニティに期待する役割のひとつではないでしょうか? 先ほど理事長も仰っていましたが、青年会議所も中期的なミッションを打ち立てておりますが、行政がやれないことを、手がとどかないところを、俺たちがやるんだっていう意気込みでお願いしたいところでございます。
理事長:そうですね笛吹市の将来をみんなで考え、手を取り合って発展していく、そんな市になったらいいなと心から思います。我々笛吹青年会議所も設立から38年が経ちその時々に地域の発展に必要なことが何かを考えてきました。ただいつの時代にも言えることだと思いますが結局我々のひとりよがりでは街は変わらない、我々が市民にどれだけ熱意を伝えられるか、どれだけ市民と一緒になって街を盛り上げられるのか、そういったことは普遍的なことだと思います。その手法が都度変わるだけであって、こうやって市長のご意見を聞かせていただくことで、その時々にあった方法というのを一緒に模索できたらいいなと思います。ありがとうございます。
そして最後に先ほどご指摘いただいた地域コミュニティの活性化というミッションに対してですが、その手法として、私たち笛吹市の発展には交流人口増加が必要と考え、そのためには笛吹市の地域資源を市内外に発信することを通じて、地域コミュニティを活性化させようとしています。活性化を通じて一人でも多くの市民に「地域資源=地域イメージ」という認識を持って頂きたいと思います。 そしてそれが定着することにより地域全体としてのイメージが形成され外部の笛吹市に対するイメージと市民の描くイメージが同一になり、その時地域資源が「地域の魅力」として確立されていくと考えます、そしてそれがまちの発展へと繋がると考えます。
そこで我々が今後地域の魅力を発信していくためにも、市長の目指す、優しさあふれるまち「ハートフルタウン笛吹」の魅力を教えてください。
市長:まず、私の考えるハートフルタウンには基本的な考えというか、私自身の信念があって
「子供たちに夢、女性に輝き、若者に希望、高齢者に安心」
これがすべての構想のベースになります。そして、そこから3つの街づくりのプランを考えています。
まず、第一に子育てや福祉に対する「幸せ実感~心豊かに暮らせる街~」です。子育て、いわゆる人口を増やすため、若い人達にここに定住してもらうためには何をするべきか?当然仕事もなければ困るけれど、今のお母さん達は子供を育てる環境として、どこが子育てしやすいか、市の事を非常によく見てます。子育て支援は人口減少対策の最大のテーマであると思いますから、妊娠期から切れ目のない支援体制を確立できるよう、また、笛吹市は安心して子育てができる環境づくりを応援してくれるというところを、これからアピールしていきたいと思っています。さらに、高齢者対策では、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきたいと思います。
第二のプランとして、もも・ぶどう日本一を誇る笛吹市の農業に「新たな農業~実り豊かなブランド農業」の推進をしたい。今まで生産量日本一を支えてきた農家の皆様に加え新たに参入する農業の担い手がそれぞれの長所を生かしてブランド化された農産物の生産販路拡大につながるような取り組みを進めます。そして、桃源郷と呼ばれるように美しい農村景観が保たれた実り豊かなまちを目指します。その中で農家の後継者問題にも向き合っていこうと思い、現在担当課で検討を進めています。
そして最後に第三として「観光再生~また訪れたくなる街~」です。特にその中で一番の魅力を創出するのが「笛吹物語」とよばれるものです、この「笛吹物語」はまだタイトルであって、中身はこれから検討していくのですが、それが地域資源に光を当てるのではないかと考えています。
考えてみてほしいんですが、笛吹石和温泉・春日居温泉が「観光地」と言えるでしょうか?私は今の温泉郷が観光地だとは思いません。 観光地といえば、富士山であったり湖があったり、北杜にいったら清里があったり山々があったりそういったものであって、石和温泉や春日居温泉は「観光地」ではなくて「宿泊地」なんです。ここを目的地として来る観光客は昔ほどいませんよ、昔は「温泉」が目的地だったんですよ、だから温泉郷が観光地になった。ここへきて温泉に入ってお酒を飲んで楽しむような一泊二日の社員旅行が昔は山ほどあったんですよ。だけど、今そんなものはないわけですから、、、 となるとこれからの石和温泉・春日居温泉はどういう場所かというと観光客は別に目的地があって、あそこいってこういうもの食べたい、あそこのあれが見てみたい、あそこのあれを体験してみたい、その目的地に行くための受け皿として石和温泉、春日居温泉があるぞって話なんです。これも、今、担当課で「笛吹物語プロジェクト」を立ち上げ具体的な動きがはじまります。
理事長:ご説明ありがとうございます、市長のハートフルタウン笛吹への熱意が大変伝わりました。我々も市と協働して何ができるのか改めて考えてみようと思います。まだまだお話しを聞きたいところですが公務があるということで本日は貴重なお時間を割いていただき本当にありがとうございました、今後ともよろしくお願いいたします。